発声を変えると声帯が改善する?

2025.07.01

いまだに私たちも不思議に思ってしまうのですが、
発声を適切なものに変えて練習を続けてゆくと、声帯の器質的な状態が変化するケースがあります。

ここでいう器質的な状態とは、ポリープや結節のことです。
長くポリープや結節をお持ちだったクライアントさんでも、そうした変化を目の当たりにすることがあります。人体の不思議、というと大げさかもしれませんが、長年工夫を凝らしても消えないものに困った経験がある方々にとっては、本当に驚くことです。全てのケースで起こるわけではありませんが一定数いらっしゃることから、人体にとっての適切な発声を知り実践することは持続可能な活動を支える、という証であるように思えます。

いろんな声の色・表現方法がありますが、職業として声のパフォーマーを継続してゆくためには、やはり基本が大切です。第一に科学的な情報に基づいた発声に関する情報と知識を得ること、第二に、その発声動作を自動化できるよう練習を積み続けること。ありきたりのことに聞こえかもしれませんが、このシンプルなことをシンプルなままに実践されていないケースは大変多いと感じます。
スポーツや器楽など、あらゆる「身体動作」の習得に時間と練習が不可欠であるのと同様、発声において特に歌唱動作を習得することには、正確な知識と練習の継続が不可欠です。

「発声練習は、この音階さえやっておけば大丈夫!」という、お薬のような便利な音階もありません。自分の体の微細な動作に対して常に意識を運び、その音階の中で動作の何を確認しているのか、あるいはインプットさせているのかを理解していないと、動作の誤差を修正することができません。なかなか上達しない・・ならまだしも、最悪の場合は悪い動作習慣を固定してゆくことに繋がってゆき、声を自由に出すことが難しくなります。

声帯は頑丈な組織ですが、使い方によっては傷めます。そして、実は”消耗品”でもあります。また、声の楽器は生ものですから、絶対大丈夫な状態を永続的に整えることは誰にもできません。この楽器を使い職業として成立させるには、「確率」を上げることを目指し、シンプルに淡々と精進し続けることに尽きるかもしれません。

今回のお話は、日々の積み重ねの先には人体が自らの声帯の病変を変化させるケースもあります、というお話でした。



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